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~マイ「持論公論」~

 ロシアによるウクライナへの侵略は、絶対的な権力者に、国の全てを委ねる専制(権威・独裁ともいう)国家の危険性を、改めて全世界に知らしめることになりました。中国などは、専制体制のほうが、経済の発展や国民生活の向上を図るには効率的なので、専制国家のほうが、民主主義体制の国よりも、優れた統治の仕組みなのだと、誇らしげに喧伝していたことは記憶に新しいところです。確かに、民主主義は、様々な意見を言う人がいて、手順を踏む必要があり、何を決めるにも時間がかかります。まだるっこしくて、非効率的であることは否めません。おまけに、政治家も、民意をまともに汲み上げてくれる優秀な政治家ばかりではありません。

 しかし、専制国家では、如何に民主的な体裁を取り繕っていても、国内では徹底的に報道管制を敷き、施政者に都合の良いプロパガンダを行って、自国民だけでなく、世界を欺こうとします。実質的に一人の専制者あるいは一つの独裁政党が、すべてを即決することは、効率的に見えても、そのやり方が、如何に危険で有害なことか、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略を語るまでもなく、ヒットラーや、レーニン、スターリンの時代を見ても明らかです。

 専制国家が、効率的な統治体制を如何に誇ろうとも、言論や報道の自由を封殺して、国民の政府に対する監視機能を無くしてしまえば、行き着く先は、国家の破綻、国民の犠牲、他国に対する加害の道でしかないのです。そんな危険な体制よりも、如何に非効率的ではあっても、言論や報道の自由が保障され、政府への監視機能が働く、自由民主主義の国のほうが、国民にとっても他国にとっても、はるかに安全で安心な体制と言えます。やはり、「急がば回れ」が正解で、急げば自らがこけるだけでなく、他人(他国)にも大きな禍を惹起するのです。ですから、専制国家が良いのか、民主主義国家が良いのかを並列して議論することは、それだけで議論の前提が間違っていると言うべきです。

 西欧の自由民主主義は、歴史の発展の中で、それぞれの国民自らが、多大な犠牲を払って、それを踏み台にして、確立したもので、それはある意味では歴史の必然でもあり、人類が共有すべき尊い価値観です。その価値観を効率性云々で否定する、専制主義の国は、専制国家にならざるを得なかった歴史的な背景は理解できるものの、それを是認することはできません。

 専制国家の問題点は、施政者が作る「組織」が、例外なく、国内的にも対外的にも、閉鎖的で透明性を欠いていることです。閉鎖組織は、必ず”暴走”します。閉鎖的な組織が、如何に危険なものなのかは、拙著『海外展開の基本』の「第四章 組織と個人」でも、組織が持つ特性とともに、閉鎖的な組織がもたらす結果について、幾つかの実例をあげて解説しています。内にあっては、施政者に都合の良い情報ばかりになるように情報操作を行い、外部からは内部が見えないようにする。それは、暴走する危険を持つ組織の典型例です。

 報道によれば、プーチン大統領は「ソ連邦の復活」を目指していると伝えられています。中国の習近平主席は、「文化大革命の時代」を懐かしんでいるとも言われていて、懐古志向の点で共通しています。また、武力を背景とした領土的な野心が露骨なことも、両専制国家の共通点です。こうした専制国家に共通する問題点が、ウクライナでの戦火で、炙りだされたのは、偶然ではないでしょう。

 ところで、世界は今後、専制国(権威主義・独裁主義の国)と民主主義国の二つのグループに二分されるので、「グローバル化の時代は終わった」と主張する人が出てきています。果たしてそうでしょうか? グローバル化の時代が終わるならば、日本は鎖国していた江戸時代に戻ってしまうのでしょうか? そんなことはあり得ません。現実的には、深刻なカントリーリスクを十分に考慮した海外展開やサプライチェーン体制の再構築が、国の施策や企業に求められるようになるということであって、海外との門戸を閉ざすことではありません。これからのグローバル展開は、専制国家がその体制が故に抱える、「カントリーリスク」を、従来よりも増して、大前提としなければなりません。「中国市場の大きさが故に、日本は中国なしではやっていけない」と主張する人もいます。また「中国市場で一定の存在感を持つことで、中国での日本の影響力を発揮できる」とする人もいます。果たしてそうでしょうか?中国国内企業でさえ、大きな影響力を持つ企業に対して、中国共産党は、その影響力を露骨に削いでいるではないですか! 中国共産党は、政治的な目的よりも、経済を優先したことが、今まで一度でもあったでしょうか? 現実は、政治的目的のために経済を無視する政策を、今まで何回も行っています。習近平が懐かしむ「文化大革命」も、また新型コロナでの「都市封鎖」も、その例ではないですか! 経済的な利益を念頭に置いて、中国に幻想を抱けば、手痛い仕打ちにあうことは目に見えています。ましてや、外資企業に対する厳しい対応は、容易に想像できるはずです。カントリーリスクは、自らに甘く自覚するのでなく、自らに厳しく分析し、自覚し、対応策を講じなければなりません。リスク認識を深めるために、、拙著『海外展開の基本』の「第四章 組織と個人」を、是非参照していただきたいと思います。

 コロナ禍が世界を覆ってほぼ4年近くの間は、「海外展開どころでない」という雰囲気でした。昨今は、海外に目を向ける動きが復活してきています。日本の人口が減少傾向を辿り、国内市場の拡大に限界が見えて来ている以上、今後は、海外に目を向けていく企業が増えていくものと期待したいところです。海外展開するに当たっては、海外展開に必要な基本と手順を踏まえるようにしましょう。「海外展開に必要な基本と手順」については、拙著『海外展開の基本』で詳しく説明しています。

 現在の世界は、民主主義国群、権威主義国(専制主義国)群とグローバルサウスの三極に分かれていると言われます。また、民主主義国は、米国での激しい社会分断に見られるように、危機に瀕しているとも言われています。しかし、戦後の世界の変遷を振り返ってみてください。戦後体制の下で、東西冷戦時代が長い間続きましたが、経済のグローバル化が進展すると、東側陣営は経済面で破綻して、政治的には専制体制を維持しつつも、経済では資本主義市場経済の仕組みを導入して、経済の立ち直りを計りました。経済のグローバル化の進展とともに、民主主義国でも権威主義国(専制主義国)でも、多くの国々が著しい経済成長を遂げることができました。しかし、その一方で、「貧富差の拡大」は否が応でも進み、民主主義国においては社会の分断、国内での政治的な対立によって、民主主義は危機に瀕していると言われている現状です。権威主義国(専制主義国)でも、市場上主義経済の導入によって「貧富差の拡大」が進み、国民の不満が高まっていますが、独裁的な施政者は、実質的な排外主義や対外拡張主義を掲げて、国民の不満の矛先を外に向けるべく、プロパガンダを展開しています。その結果、民主主義国と権威主義国(専制主義国)との間の対立は、激化の一途を辿っています。

 資本主義市場経済を進めれば、貧富差が拡大していくのは当然のことです。これは、資本主義市場経済の特性であり、欠点でもありますから、これを是正する「富の再配分」の仕組みが欠かせません。この仕組みを持たない市場経済国では、際限なく貧富差が拡大して、やがて経済は崩壊してしまうでしょう。貧富差の拡大は、米国でもロシアでも、中国でもそして日本でも一様に進行しています。国家の仕組みとして、「富の再配分」の仕組みを構築して、持続可能な市場経済体制にすることはできるのでしょうか?それは、権威主義国(専制主義国)の対外拡張主義では、市場経済欠陥をただすことができないことは明らかです。民主主義国では、「富の再配分」の仕組みを構築できる可能性はあります。但し、それには、民主主義国が権威主義(専制主義)体制に変質しなければという前提条件がつきます。米国の民主主義が問われているのは、まさにこの点なのです。日本でも、過去30年来、「貧富差の拡大」が続きた結果、昨今では、著しい治安の悪化が起きています。一方では、東京都内の新築マンションの売り出し価格は、1億円を優に超えていて、貧富差の拡大は明らかです。このままでは、日本の資本主義も持たないかも知れません。政治家の責任が、今ほど問われている時代はなかったのではないでしょうか!

 ところで、貿易をするには、「取引相手が見つかればできる」と思っている人が、多いのですが、「取引相手が見つかればできる」のは、国内商売だけです。貿易には、世界共通の「規則」があり、国内取引にはない「商慣習」があり、そして貿易特有の「決済方式」などもあります。そうしたことを知らなければ、リスクまみれで貿易することになります。現に、儲けるには、リスクは付き物だと豪語して、貿易をやっている人たちも少なくないのですが、それは、「貿易の基本」を知らない人が言うことです。「貿易の基本」は、「ノ-リスクで取引する」ことにありますし、既にノーリスクで貿易のできる貿易のインフラは、ほぼ完備しています。その完備している貿易のインフラを知らなければ、リスクまみれの貿易になるでしょう。 

 また、海外への企業進出は、海外の国に会社を設立しさえすれば、後の子会社の経営は、日本での会社経営とほぼ同じようなやり方でできると、考えていませんか? もしそうであれば、「企業進出の基本」を学ぶ必要があります。企業進出とは、「異文化環境の中での企業経営」を意味します。会社を作るのも、経営するのも、スタッフを募集して採用するのも、会計処理の方法も、すべて日本とは異なる異文化環境ですから、日本と同じであることに安堵を求めるのでなく、日本と違っている点を謙虚に学んで、それに対応していかなければなりません。更に、海外の子会社を、親会社として、どのように統括していくのかも、企業進出を成功させるには、欠かせない要点です。こうした「企業進出の基本」は、幾ら想像しても無駄です。先人が培った知見から学ぶのが一番で、これも貿易と同じく、一朝一夕では身に着けることはできません。

 貿易も企業進出も、その「基本」を、しっかり勉強したうえで、取り組むことをお勧めしたいと思います。東中ビジコンは、「営業マンのための貿易実務」や「海外展開の基本」などの著作、貿易実務研修や海外展開に関わるセミナー、あるいは個別企業ごとのアドバイスなどを通じて、皆様が安全に海外展開できるように、企業サイドに寄り添って、お手伝いをしていきたいと願っています。必要であれば、「お問い合わせ」くださいませ。

 東中ビジコン 代表 太田 光雄

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